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青桃

桃も真っ青!青桃のふたり事

HP管理人のお友達で、日曜作家“青桃”さんが日々の由無し事を綴る賃貸サイトです。
「がんばって、更新しますよ~」とのことらしいですが…。
第一回
 お初にお目にかかります。青桃です。本業作家です。が、残念ながら幸いにも別に生業がありますので、現在は日曜作家ということでぼちぼち活動しております。
 この度、小説を出版するにいたり(ばんざ~い)それを機に友人のHP管理人のサイトを間借りすることになりました。お家賃は“出世払い”ということで…軒先貸していつか母屋取られるとも露も知らずに…冗談です。
 で、小説「汀の砂」を本サイトにてちょびっとずつ公開していこうかな~と考えております。何と大盤振る舞いな!
 この先追って自己紹介がてら、小説のコンセプトや青桃というけったいな名前の由来なんかについても、いろいろ蘊蓄を語っていこうかな~なんて思案中です。乞うご期待!能書きはこのくらいにしておいてっと。では、「汀の砂」お楽しみください。
第二回
 作家と称しながら、実はとっても遅筆な青桃でございます。やっと第二回です。今回は青桃という号についてちょこっとご紹介いたします。もちろん、本名ではございません。これはわたくしが所属する青年会議所の、敬愛するとN先輩に名付けて戴いた大切な号です。青桃の前に名字らしきものをつけてもいいのでしょうけれど、せっかくですのでそのまま戴くことにしました。おそらく“せいとう”と呼ぶのでしょう(本人もそのへんはあやふやで…何ともええ加減な)。「あおもも?なんやそれ~」とからかわれようとも、「文句があるならゴッドファーザーに直にゆうてんか~」と言い返しておる次第です。N親分はこわいんやぞ~。
 N 親分には試作をいろいろと読んで戴いては、感想・批評を聞かせて戴いているのですが、おそらく、青桃のまだ未発表の短編からこの号を考えられたのだろうと推測しています。「汀の砂」とは全く毛色の違う作品です。「汀の砂」がある程度成功すれば(いつのことやら…)短編集にしてまた製本化したいな~と野心を燃やしております。
第三回
 「そうだ、私は作家だったのだ。そのへんをもっと自覚を持って書かねば…」とは思いつつも、青桃はこのようにブログ形式で綴っていくのはどうも苦手で。作品を書く際には、全ての青写真がほぼ頭の中で出来上がった状態から、いざ取りかかるので(それでも書き進めていくうちに、設計図の変更を余儀なくされるのですが)、ブログはまるでキルトを作っていくような感覚で、言葉の響きやテクスチャーを味わいながら至福の時を燻られるのもなのですね。青桃のスタイルとは正反対です。悲壮感に打ち拉がれ、焦燥感に苛まれ、それでも我が身が我が身に駆りたてれられて、身を削る思いで書き刻みつけていく…それが私のやり方。だから、このコラムは一つの挑戦でもありますね。「できるだけリラックスして、リラックスして」と我が身に言い聞かせている…その時点でもうすでに肩に力が入っているではないか。そうそう、キルトで思い出したけれど、手芸をしている感覚ですね。青桃は結構手芸好きなのです。お知り合いに赤ちゃんが生まれたら、必ず手作りの毛糸の帽子をお祝いに差し上げているのですよ。春であろうが夏であろうがお構いなしに…青桃が冬に着ているセーターは全て自家製です。手芸をしている時って、無心になれるのです。おそらく般若心経を写経している心境に近いのかしら。頭頂が開いて宇宙と交信できるので、時折雷に打たれたように小説のモチーフがひらめくこともあります。写経と違って出来上がったものを使うこともできますし…実用本位、それ自体神をも恐れぬ不謹慎ぶり。大変失礼いたしました。今日のところはこの辺で。
第四回
 お久しぶりにお目見えします。青桃です。作家デビューして早数ヶ月、巷のホンの狭い仲間内では、私が作家であるという認知がようやくなされるようになってきたようで…それにしても、皆様好き勝手に呼んでくださることで、白桃やら黄桃やら、ネクタリンと呼ばれた日にゃ~返事してやらなかった。
 それにしても、残暑が厳しすぎる今日この頃、只今青桃は、新作の執筆にかかっております。以前にも申しましたとおり、短編を5作書き上げようと七転八倒しております。そのうちの一作品で「マッチ売りの少女」をモチーフに、青桃流に咀嚼しなおし、ちょっぴりか?かなりか?辛辣に仕立て直した意欲作に仕上げるつもりなのですが…いくら想像するのが作家の仕事とはいえ、凍える描写を書きたくても、こう毎日暑くてうだっているのでは、凍えるどころのさわぎではなくて。これってやっぱり地球温暖化の影響ですかね~青桃にとっても、とっても死活問題です!な~んてちょっぴりか?かなりか?大げさに独り騒いでおるしだいです。
 こういう時季には、やはりお決まりのあれですね、怪談。今一つ怖くはありませんが、青桃もこの間いわゆる“それ”に遭遇しました。取り壊し間近のとある旧い商工会館にて、「出る」と噂の5階。そこにはオフィスもテナントも一切入っていないのですが。閉館間際の午後10時前、ミーティングを終え、6階にて下りのエレベータに乗り込もうとした際のこと。ちょうど5,6人乗り込んだところで、閉扉ボタンを押さないのに、突然扉が閉まりだし同僚が挟まれかけました。それでもお構いなく扉は勢いよく閉まり、どこの階のボタンも押さないのにエレベータは勝手に下りだしたのです。「はよ1階のボタン押し~!」と誰かが叫びましたが、時すでに遅し、エレベータは5階で停まりチ~ンと扉が開きました。もちろん“人”はいません。が、明らかに“何か”が乗り込んできたのはわかりました。でもあまり怖い類のものではありません。というのも、青桃はいわゆる霊感という特殊な感覚はあいにく持ち合わせておりません。せいぜい生きている人間の残像みたいなものを微妙に捉えられる程度のものです。仮にそんな恐ろしいものに出会ったとしても、到底感知できないのであります。エレベータが1階に到着するまでの時間の長いことといったら…皆押し黙っていました。青桃だけが「いますね~」と小声で繰り返していました。1階で扉が開くや否や、皆一目散に駐車場へと去ってしまいました。青桃も早く駐輪場へ行きたかったのですが、何故だか上司がその場で立ち止まっているのです。青桃は思わず「その… 憑いていますよ、通り道ですから」と上司の背中を払ってしまいました。怖いものでなくても、やはり気持ち悪いものは気持ち悪い。おそらく“それ”は建物の取り壊しを知り、慌てて出て行くことになったのでしょう。その後、上司と話をした際「そういうあんたが怖い気がする。やっぱり君はちとかわっとるな~」とのことでした。
 科学や合理主義の行き届いた世の中では、“そんなもの”は存在しない、というのが主流、王道、常識でしょう。青桃もずっと我が身にそう言い聞かせてきました。“何か”感じても、錯覚に違いない、“そんなもの”を信じるるなんて無知蒙昧だと自己否定してきました。でもやはりいるものはいるし、感じるものは感じるのです。最近になってそういう自分を素直に受け入れられるようになり、却って気楽になりました。
 兎角この世で本当に怖いものといえば、生きている人間の「人で無し」をおいては無いでしょう。いつか青桃も、生きている人間の鬼をモチーフにした「怪談」を描いてみたいと、秘かにアイデアを温めております。
第五回
 青桃には愉快なお友達が何人かいるのですが、その中のお一人で青年会議所のお知り合い、Aしゃんが実際に遭遇した事故のお話です。Aしゃんは建設関係の自営業をされているのですが、ある日の昼下がり、営業車で幹線道路走行中のことです。信号待ちをしていると、赤信号にもかかわらず何を思ったのか、直後の車が急に発進、Aしゃんの車はおかまされてしまいました。やれ事故だ事故だというわけで、パトカー呼ぶも、待てども待てどもなかなか来ない。スピード違反しようものなら飛んで来るというのに…待つこと云十分、ようやくパトカー到着。でもっておもむろに実況見分。大した事故でもないのに…「ところで、被害者の方は大丈夫ですか?」と尋ねられ「ええ、大丈夫だと思いますが、ちょっとむち打ちかも」「そうですか。念のために病院で診てもらいますか?」「そうですね。じゃ、あそこの病院に今から行ってきます」Aしゃんは信号超えてすぐ目の前に見えているT救急病院を指さしました。するとお巡りさんが「それはいけません。救急車呼びますから乗っていってください」「いやいや、歩いていけますって。わたしは地元の人間だし、T病院では息子も世話になってるし…」「病院に着くまでに何かあってはいけませんから」何かあるってどういうこと?自営業は暇じゃない!早く診てもらって仕事に戻りたいのに、と思いつつも、お巡りさんに言われるがまま、救急車を待つこと云十分、目と鼻の先にあるT救急病院に救急車で搬送されてしまいました。やはり歩いていった方がはるかに早く着いた。取りあえず担当のドクターが問診。それからCTスキャンを撮ってもらい、診断結果は「う~ん、明らかにメタボリックシンドロームです。お酒は飲みますか?タバコは?」「いえ、お酒もタバコも一切やりません」「う~ん、食べ過ぎですね。お食事は腹八分目にしてください」っていうか、わざわざ救急車にまで乗って、何しに病院に行ったのか?!一体CTスキャンで何処を映したのか?頭部か頸部か、はたまた胴部か?内臓脂肪撮ってどうするねん!まあ、ただで健康診断受けられて良かったとしておきましょう。飛んだハプニングで、Aしゃんのその日の商談は後日に見送られたそうです。くわばらくわばら。皆様もくれぐれも安全運転を心懸けて下さいませ。
汀は炎の飛沫、砂は燃え尽きた灰。人の因は波の随に、やがて汀に打ち寄せる。
第一章   端緒
 抜けるような青空の広がる秋の昼下がり、とある郊外、道成に長い塀が続く。塀の外では子供たちの笑い声が響く。老人が犬に連れられて散歩している。塀の内側はうって変わって重苦しい静寂に包まれていた。周囲を塀に囲まれた鉄筋コンクリートの建物の、窓という窓は全て鉄格子がはめられている。涼やかな秋風がさわさわと音を立てて木々を揺らそうとも、その堅牢な鉄とセメントの固まりは静止画の如く、まんじりともしない。柔らかな日の光のみが鉄格子をくぐり抜け全ての房に惜しみなく注がれていた。
 房の一室、青年が独り陽光に弄ばれている。彼の運命を一変させたあの夏の、焼け付くような日差しは、既に南へと旅立っていた。あれから数ヶ月、その間に事態は思いもよらぬ方向へと転回し、もはや、彼一人の力では御し難いものへと変貌していた。青年は拘置所の独房の片隅で、水面に浮かぶ木の葉の如く、ただ徒に時が流れていくのに身を任せるしかなかった。
考えると、まだたったの数ヶ月しか経っていない。しかし、この数ヶ月間で彼は数倍もの年をとってしまった。誰とも口をきくこともなく、眠っているのか覚めているのかも分からず、やつれ果てていた。ただすることといえば自問自答を繰り返すだけ。
 『あれは何だったのか?そもそもの事の発端は…』
 もつれた記憶を解きほぐそうと、糸口を探る。が、覚めない悪夢の樹海を当て所もなく彷徨い続けた揚げ句、またも同じ疑問に帰着する。
 『そもそもの事の発端は…』
 静寂を破って、廊下に響く看守の靴音が、次第に青年の房へと近付いてくる。房の扉の前で靴音が止む。鍵の束の音。鈍い音と共に重い金属の扉がきしみをあげて開く。
 「出なさい。渡辺弁護士の面会です。」
 青年は条件反射で立ち上がると、夢遊病者の如くふらついて房を出て行く。
 房の外は秋の光で満ち溢れていた。廊下に燦々と降り注ぐ木漏れ日に、青年は目を細める。
 「秋か…」
 ふと、青年は呟き、目を閉じる。瞼を通して陽の光が紅く瞳の中に充満する。すると、またぞろ例によって同じ問答が頭をもたげてきた。
 『そもそもの事の発端は…』
 青年は目を開ける。陽光が直に網膜に飛び込んでくる。一瞬にして真っ白な光の渦に巻き込まれると、青年の脳裏に十数年前のある夏の情景が浮かんでくる。
 あの夏も今年同様、異常な暑さだった。まばゆいばかりの太陽光。焼け付くような日差し。屋根という屋根、道端という道端、何処も彼処も陽炎がもうもうと立ちこめ、まるで亡霊たちが黄泉の国から手招きしているようだった。
 日本海に突き出たとある半島。背には山がそそり立ち眼前には海が広がる侘びしい漁師町。景色のみは美しいが何もない片田舎。昼下がりの暑い盛りに、親子連れと思しき影が二つ、道端から溢れ出る草いきれの中をとぼとぼ歩いている。母親は日傘を差し、その傘の内の顔は蒼白で、若さの割に見るからに精気がない。まだ幼さの残る少年が、今にも陽炎に飲み込まれそうな母を、かばって並んで歩いている。
 里山を抜けると、寺の山門が見えてくる。この辺りにしては由緒正しき寺として名高く、古くは室町時代の末期、応仁の乱の頃、京の戦渦を逃れた人々によって建立された浄土真宗の寺である。こんな辺境の地に立派すぎるほどの荘厳な佇まい。二人は参道へと続く長い石畳の階段を暫く見上げていた。階段の両脇は木々で鬱蒼としている。寺は杜に守られ、来るものを寄せ付けない雰囲気を醸していた。山門の大きな瓦屋根が石畳に陰影を落とし、二人を圧倒していた。
 実はもう一つ、この寺を名あるものと成らしめている曰くがある。それはこの寺に奉納されている一体の観世音菩薩立像にまつわる口承である。本尊は阿弥陀如来像なのだが、それとは別に、この観音像は、廃寺となった寺からもらい受け、以来、秘仏として本堂とは異なる堂に納められている。天平時代の仏像で、専門家の間では、歴史的文化的価値が高く、美術品としても優れた造形物として評価されている。一説によると、当時の名だたる仏師の手による傑作で、奈良のある寺に奉納されたものであったが、その後の遷都により寺が廃れ、盗難や密売で各地を転々とし、ここに至ったらしい。いずれにせよ、流転の運命を辿った謎多き観音像なのだ。
 しかし、この観音像にまつわる曰くはそれだけに留まらない。観音像を譲り受けて以来、この寺は百年に一度必ず大きな火災に見舞われてきた。その都度、寺は甚大な被害を受けてきたが、なぜか観音像だけが無傷で受け継がれてきた。地元の言い伝えによると、この観音像の無事と引き替えに、人柱となって焼け死ぬものが出る、とのことである。先の火災は廃仏毀釈の煽りであったらしいのだが、詳細な記録は残っておらず、当時の人々も何も語らず仕舞いであった。実はそうした不可思議な出来事が度々起こることが引き金となり、その人事を惑わす力を封じるため、観音像は秘仏とされたらしい。
 少年は軽やかに階段を駆け上る。眼前に大きな山門がせり上がってくる。少年の額からはますます汗が噴き出してくる。階段の中腹まで来たところで、少年はふと下を振り返る。母は階段をようやく数段上ったところで留まっている。陽炎で母の日傘が揺らいで見える。少年は階段を駆け下り、母の手を取る。少年ははっとして全身の汗が引くのを感じた。母の手はじっとりと重く、氷のように冷たかった。地中の底から引き上げるが如く、少年は懸命に母の手を引いて階段を上がっていった。
 山門をくぐると、今までの重苦しい威圧感が嘘のように、境内は明るい光に包まれていた。あたかも浄土に辿り着いた様である。しばらくして目が慣れてくると、正面に本堂が飛び込んでくる。鵲が舞い降りたような軽やかな屋根は、夏の日差しを柔らかな光に変え、境内の白州を輝かせていた。脇からそり出す杜の木々が、適度な木陰を作っている。御手洗で手と口を清めると、少年は本堂めがけて駆け出そうとした。
 「そっちじゃなくて、右へ行ってちょうだい」
 母が少年の背中に声をかける。少年は母を振り返り、ゆっくりと右の方へと歩いて行く。
 しばらく行くと、こぢんまりしたお堂が見えてくる。二人はお堂の前に並び立つ。格子戸越しに少年は覗き込むが、中は暗闇に包まれている。
 「何も見えない」
 「ここの観音様は秘仏なの」
 「秘仏?」
 「そう、五十年に一度しか公開されないの」
 「お母さん、見たことある?」
 「ええ、就職してここを離れる前かしら…」
 「どんなのだった?」
 「とても美しいお姿していたわよ」
 「ふうん…」
 「観音様ってどんな願いでも聞いて下さるありがたい仏様なのよ」
 「ほんとに?何でも叶えてくれる?」
 「ええ」
 少年はぽつりと呟く。
 「どんな病気でも治してくれる…」
少年は、言ってはまずいことを口にしたと、後の言葉を慌てて飲み込んだ。横目で母の顔を窺う。母は一瞬はっとしたが、すぐにいつもの穏やかな表情に戻っていた。母は息子に、自分は末期癌で余命わずかであることを、告げられずにいた。しかし、息子はうすうす気付いている。小さい胸の内にその苦しみを秘め、何も気付かないふりをして、ひたすら気丈に振る舞う息子。母にとって、その姿は不憫でならなかったし、後ろめたさを感じていた。
 二人はお堂に向かって手を合わせ、静かに目を閉じる。少年は目を開け、お堂の暗闇に目を凝らす。隣で祈る母の有様。お堂の暗闇と母とが、少年の脳裏の奥で交錯する。母の面影と観音像とが重なり合いながら、フラッシュバックのように記憶の断片が目の前をよぎる。それら一つ一つが組み合わさって、光の渦となり脳を突き破り眼球へと溢れ出てくる。
 『そうか、全てはあの日のあの事から…あの時からこうなる運命にあったのか…』
 「行きなさい」
 青年を促す看守の声。一瞬にして目の前から光の渦は消え去り、青年は我に返る。看守は青年の背中を押す。看守に導かれ、青年は再び夢遊病者の如く廊下を歩き去る。
今回のところは、この辺でご勘弁を…ご精読ありがとうございました。
 ご意見、ご感想などお寄せ戴けると、とってもうれしいな~ でも、青桃は小心者なので、お手柔らかにお願いします。

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